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お子さんの「不安定」に、あなたまで飲み込まれていませんか?

塾で多くのご家庭と関わる中で、こんな相談をよく受けます。

「最近、子どもの機嫌がずっと悪くて、家の空気が重いんです」

「子どもが不安定だと、自分まで気持ちが沈んでしまって……」

気持ちはよくわかります。大事なわが子が苦しんでいるのに、平気でいられる親なんていません。でも、正直に言います。お子さんの不安定さに一緒に沈んでしまうのは、助けているようで、実は共倒れへの一歩です。


感情は「伝染」する

心理学で「情動伝染」と呼ばれる現象があります。人間は、近くにいる人の感情を無意識に取り込んでしまう。しかもネガティブな感情ほど伝染力が強い。

つまり、お子さんのイライラや不安のそばにずっといると、あなた自身の心も引っ張られるのは、意志が弱いからではなく、人間の脳の仕組みとして当然のことです。

だからこそ、意識的な対処が必要になります。


「同調」ではなく「観察」に切り替える

お子さんが荒れたとき、親も一緒に動揺する。怒りには怒りで返す。不安には不安で応じる。これが「同調」です。

やってほしいのは、「この子は今こういう状態なんだな」と、一歩引いて見る視点を持つこと。

同調と観察の違いは、こうです。

  • 同調:子どもが泣く → 親も不安になる → 家全体が暗くなる
  • 観察:子どもが泣く → 「今つらいんだな」と認識する → 自分の感情は別に保つ

これだけで、日々の消耗がまるで違います。冷たいのではありません。自分が安定しているからこそ、子どもの「港」になれるのです。


あなたの感情は、あなたのもの

不安定なお子さんを持つ親御さんに共通するのが、「自分がなんとかしなきゃ」という責任感です。

もちろん親としての責任はあります。でも、お子さんの感情そのものをコントロールする責任は、あなたにはありません。

ここを混同すると、子どもが落ち込むたびに自分も落ち込み、子どもが怒るたびに自分も消耗し、結果として判断力も余裕もなくなっていく。

お子さんの問題に向き合うことと、お子さんの感情に巻き込まれることは、まったく別のことです。


親が「自分の時間」を手放さない

子どもの問題が深刻になるほど、親は自分の生活を後回しにしがちです。趣味をやめる。友人と会わなくなる。子どものことだけを考え続ける。

気持ちはわかりますが、これは逆効果です。

理由は二つあります。一つは、あなた自身が消耗しきると、肝心なときに支えられなくなるから。もう一つは、親が自分の生活を保っている姿そのものが、お子さんにとっての「安定のモデル」になるからです。

飛行機の酸素マスクと同じです。まず自分につけないと、隣の人を助けられません。


第三者を「間に入れる」という選択

親子の距離感は近い。近いからこそ、感情がぶつかり合って余計にこじれることがあります。

スクールカウンセラー、心療内科、塾の先生——第三者が一人入るだけで、親子間の緊張はかなり緩和されます。これは「自分の力不足」ではなく、構造的に正しい判断です。

私の塾でも、お子さんの様子が気になるときは保護者の方とお話しする機会を設けています。「親でも先生でもない大人」が関わることで、お子さん自身も気持ちの整理がつきやすくなることがあります。


まとめ:共倒れしないための3つの原則

  1. 同調せず、観察する。 お子さんの感情に飲み込まれず、一歩引いて状態を把握する。
  2. 自分の生活を手放さない。 あなたが安定していることが、お子さんにとって最大の支えになる。
  3. 一人で抱え込まず、第三者を頼る。 近すぎる距離を調整するのは、弱さではなく戦略。

お子さんの不安定さは、永遠には続きません。でも、その渦中にいるときは先が見えなくなるものです。

大事なのは、あなたまで一緒に沈まないこと。あなたが立っていられるから、お子さんが戻ってこられる場所がある。

何か気になることがあれば、いつでもご相談ください。


西心塾 塾長

お読みいただきありがとうございました